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魚住りえさん

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  • 2022年3月28日
  • 読了時間: 9分

更新日:2022年3月29日


魚住りえ Rie Uozumi


大阪府生まれ。広島県育ち。

高校時代、放送部に在籍し、数多くのアナウンサーを輩出しているNHK杯全国高校放送コンテストに出場。朗読部門で、全国約5000人の中から第3位に選ばれ、優秀賞を受賞。

1995年に、慶応義塾大学、文学部 仏文学専攻を卒業、日本テレビにアナウンサーとして入社。「所さんの目がテン!」「ジパングあさ6」「京都心の都へ(ナレーション)」などを担当。2004年にフリーに転身し、テレビ・ラジオを問わず幅広く活躍している。

また、ボイスデザイナー・スピーチデザイナーとしても活躍中。およそ30年に渡るアナウンスメント技術を活かし、「魚住式スピーチメソッド」を立ち上げ、話し方を磨くための指導を行っている。


リンク

YouTube『魚住りえチャンネル』


著書

「1秒で心をつかめ。一瞬で人を動かし、100%好かれる声、表情、話し方」(SBクリエイティブ)

「話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読」(東洋経済新報社)

「たった1日で声まで良くなる話し方の教科書」(東洋経済新報社)

「たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書」(東洋経済新報社)

「10歳若返る!話し方のレッスン」(講談社)




―――アナウンサーに興味を持ったきっかけを教えてください。


私は3歳の時から16歳までピアノをやっていたんです。夢としてはピアニストになることでしたが、体がとても小さく、プロとしてやっていくのが難しいというのを高校に入学したあたりに悟りました。ピアノをやめて時間ができたのでテレビを結構見るようになったんですが、ふとしたときに見た夕方のニュースで、ですごく綺麗なアナウンサーの方が流暢に原稿を読んでいたんです。分かりやすく音声表現で伝えているのを見て、これは音楽の演奏に似ているなと感じたんです。今度はピアノではなく、自分が楽器になって、言葉を使った音声表現で、情報や人の感情を伝えることが、体が小さい私でもできるんじゃないかと思いました。その頃、ちょうどピアノの代わりに自分が次目指せるものを探していたというのもあったので、アナウンサーになりたいなと思いました。

そう思ったのが高一の時、入学してすぐくらいだったと思います。中学まではピアノをやっていたので部活も禁止されていたんですが、ピアノをやめたこともあり、部活も入れるようになったので、放送部に入りました。実際入ったらそんなに人前で読んだり喋ったりすることが簡単なことではないことを悟ることになるんですけども、目指そうと思ったきっかけはそういった経緯です。



―――高校に入るまでは真剣にピアノと向きあっていたんですね。


そうですね。育ちが広島県だったんですが、県の大会ではそこそこ賞は取れていたんですが、それでもやはり全国に行くとすごい人がいっぱいいるわけですよね。

昨今ですとショパンコンクールで、日本人が入賞しましたけれども、神レベルです。そうした高いレベルまで行かないとクラシック1本で食べていくのは大変なんだろうと、なんとなく子供のころから分かっていましたので、この道を進むのは茨の道だな、と思ってきっぱりとやめました。



―――学生時代アナウンサーになるためにやっていた活動など詳しく教えてください。


先ほど申し上げた通り高校生の頃は放送部に入っていました。全国の放送部の高校生が目指すものに、NHKのコンテストがあるんです。またコンテストかと(笑)

でも自分はそういうのに燃えるタイプなのです。

毎日、部活では先輩、後輩たちと、腹式呼吸、発声練習、走ったり腹筋したりなどトレーニングをして、滑舌練習、原稿読み、をひたすらやりました。

NHKの全国高校放送コンテストというのは70年ぐらい歴史があるんですけど、アナウンス部門、朗読部門、番組制作部門、ラジオ部門とか、色々な部門があって、その中で私は朗読部門を選んだんです。書いてあるものを情緒的に読み、観客に伝える、ということなんですが、それがピアノの演奏とそっくりで。ひたすら訓練していきました。結果、努力が実って、高校3年生の時に全国3位に入れたんです。うれしかったし、ますますアナウンサーになろうという気持ちが固まりました。

そして、高校の時に培った技術をそのまま持って慶応義塾大学の放送研究会というサークルに入りました。

大学の頃の活動としては、変わらず朗読をして後輩に教えたり、あとは音楽が好きなので、DJをやってみたりしました。HMVっていうCD屋さんが当時、渋谷、横浜にありまして、そこにディスクジョッキーブースっていうのがあったんです。色々な大学の学生さんがバイトとして自分で原稿書いて、曲を選んで、店内で喋って、お客様にCDを紹介するみたいなことをしていたんですが、わたしもたまにやらせて頂いたりと、人前で色々表現する機会を大切にしていました。

サークルでも、マイクを持って司会をしたり、朗読をしたり、番組を見てもらったりするような、発表会みたいなものにも定期的に参加していました。



―――高校生の頃の活動がアナウンサーとしての基礎固めに繋がったということなんですね。


アナウンサーになりたい人はNコンに出るというのは、結構目指されているところのようで、実際Nコンで優勝された方の中では、アナウンサーになっていらっしゃいますね。

本当に上手いんですよ。感動するくらい上手くて、高い確率で地方局も含めてなられてる方が多いんじゃないのかなと思います。

私もそう言った場所に立つための訓練の結果という基礎をもって、日本テレビとか各局就職試験受けに行きました。




―――今思えば学生時代にあれはやっておけばよかったなと思うことはありますか。


もっと友人たちとコミュニケーションをとって、自由な時間を謳歌すればよかったなって思います。3歳から13年間ずっと毎日3時間4時間ピアノを弾いていて、外の世界を知らなかった。それはもったいなかったなと思っています。

アナウンサーという仕事は、いろんなものに興味がないと続かないんです。いくら言葉での表現が上手くても、人や物事に対して面白さをみつけたり、好きならのめり込む、ミーハー的なところがないと難しい。モチベーションが下がってきちゃうんです。ただそれが、私の中でもう少し色々な人と遊ぶというか、コミュニケーションを取れるような子供時代、高校大学時代を送っていれば、もっともっと凹凸のあるアナウンサーになれたのかもしれないなと思います。



―――高校生のそのタイミングでそれまでずっと続けてきたことをスパンとやめて、別の道に舵を切ると言うのはものすごい事だと思います。


私の家庭では、子供のころから、「女性であっても自立をしなさい」と言われて育ちました。

結婚して男性に食べさせてもらうのが普通の感覚だったと思うのですが、両親は、自立をして、何があっても自分で食べていける力を持ちなさい、職業を持ちなさいという事を、ずっと小さい時から言っていました。そういう事があったので、このままだと私は食べていけない、このままでは一人で生きていけなさそうだなと思って、決断できたというところもあったのかも知れませんね。今の時代は特にそうだと思いますが、一人一人が自立していることが大事なので、それはメッセージとしてお伝えしたいですかね。

それぞれが対等である位置に自分を高めていくことが大事だと思うので、早いうちから、気持ちの上でも、自立することが大切だと思います。



―――アナウンサーという仕事の素晴らしいところを教えてください。


よく言われることですが、普通の生活ではなかなか会えないような人に直接お話ができる、インタビューさせてもらえること。それが一番の魅力です。

新鮮な気持ちで、いろんな分野の、しかも第一線で活躍されている方たちと会話できるというのは、すごく恵まれた職業かと思います。原稿を読んだり、レポートしたり、実況したりというアウトプットばかりではなく、インプットの機会もあるということですね。例えばビッグボス・新庄監督にインタビューする機会があったと仮定しましょう。

事前に、彼の著書やネットの情報を片端から読んで知識を入れおきますが、それで終わるのはアナウンサーとしてあまりにもったいないことです。

インタビューの場合、それを一度、全部捨てて本人に会い、「今目の前の」新庄監督と会話し、そこで誰も知らないような情報を得られます。こんなインプットの機会があるなんて、本当に貴重なことです。そこであらたな発見や学び、感動が生れます。それを自分の成長の糧にできます。

アナウンサーは、稀有な状況に恵まれる、自分を磨ける素晴らしい職業と感じています。



―――今後の目標などあれば教えてください。


私はちょうど10年くらい前に芸能事務所も辞めて、完全にフリーでやっているんです。もちろん一人でやる大変さもあるんですけど、毎日すごく楽しいです。自由に色々な人と出会って、成長させていただきながら、仕事の幅を広げていきたいと思っています。

私はどちらかというと壮大な夢は持たずに、来たボールを打つタイプなので、投げてもらったボールをなるべくヒットで返す努力を続ける。

その積み重ねで良い未来が開けると考えています。

わたしの夢は本を出すということだったんですが、それも今は叶えたので、その延長に、また来たボールをしっかり、できればホームランで返せるように、いつも自分を準備しておきたいなと思います。



―――学生に向けてのメッセージをお願いします。


今興味があることに、とことん打ち込んでみてください。

長い人生の中で今しかできない、それが人によって、部活だったり、文化祭に向けての準備だったり、大好きな習い事や趣味でもいいです。なにか好きなこと、夢中になれることに打ち込んで欲しいです。

こんなことがアナウンサーになるために必要なのかな?繋がるのかな?なんて決して思わないでください。

何か一つの事に費やした時間が長ければ長いほど、たくさんの学びがあり、成長が著しいんです。

人生で「無駄」なことはなに一つありません。

その学びは、共通してどの分野でも言える法則みたいなものです。

それを見つけた人は、やっぱり面接で受ける印象が違います。

軸があり、ぶれないですね。

「点は線になる」という考え方をしてみてください。

アナウンサーには全然関係ない部活動や、直接つながらない趣味などで得た知識、情報、感覚といった「点」が、やがて重なって太い「線」に繋がるんです。

スティーブジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式でおこなった名スピーチを是非聞いてみてください。

私も不安にかられたり、迷ったとき、いつもこれを聞き直しています。

おすすめですよ。

と言われたらすぐ聞いてみる人がアナウンサーに向いています(笑)

あとは、やっぱり自分の人生だから、なぜアナウンサーになりたいのかっていうのを突き詰めて考えて欲しいなと思います。アナウンサーになることが目的になってしまうと、辛いことも多いし、想像と違うこともあると思うので、続きません。

自分の本当にやりたいことが、アナウンサーという職業の中に入っているのかどうかという事をしっかりと考えてみてください。例えば私だったら、「自分が楽器となり、音声表現で人の心を動かしたい!」といったようなものです。

良い意味でミーハーで、いろんなことに興味があって、心を動かされるという

強い感受性がアナウンサーには大切な要素です。

どうしてアナウンサーになりたいのか、という事をしっかりと考えて、そして突き詰めて答えが出せれば、その熱意はきっと面接官にも伝わりますよ。



記事に乗り切れなかったインタビュー全文はコチラ!

 
 
 

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